ゲームエフェクトデザイナーのブログ | A Real-Time VFX Artist's Blog

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「サルでも分かるゲームAIの話」講演メモ

こちらに参加してきました!その際のメモです。

「サルでも分かるゲームAIの話」

モリカトロン株式会社 森川幸人さん
「がんばれ森川くん2号」

いつもはAIの勉強会で話す 今日はゲームの勉強会
数式とかは出さない
利用範囲が広い 時間が足りない
ゲームに関わる部分だけ 入口をご紹介

PS初期の頃

■1:AIを使うゲームを作っている
1956年ダートマス会議ではじめて 人工知能という言葉が使われた
当時は人間の知能をナメていて人間の知能を軽く追いつけるのではと思われていた
今、ようやく将棋とか自動運転の一部だけとかレントゲンの病巣発見の一部だけとか
パーツパーツで人間を超え始めた 特化型
東大入試に受かっても東大への行き方が分からないとかよく言われる
目指すのは人間のように電車にも乗れて会場にも行けて解答も書けてと全てできるのを目指す
生き物の知能 自然知能

Aiの歴史 今は第三次ブームと言われている
ダートマス会議で致命的な欠陥があってすぐにブームが終わる

1980年くらいに改良版が出てきて第二次ブーム
命やお金を預かるシビアな問題は学習できない 実用に向かない 下火になった

2012年 DeepLearning AIを改良したモデルが登場
かなり高機能なAI 今度こそ実用に足りる道具になった
研究者の間だけのブームではなく世間を巻き込んだブーム
ファジー搭載 F/1揺らぎがどうの 家電会社が言ったりしていたが

高機能なものから小さいものまで優秀なAIがいっぱい
ゲーム機やスマホはハードがプアなのでDeep Learningを中ですることはできない
コンビニに行くのにスポーツカーで行く必要が無い
荷物を運ぶためとか 燃費の良さとか 用途に応じて車種が変わる
気を付けた方が良いところ

ニューラルネットワークについて少し
生物の脳をモデルにしたAI
ニューロン細胞がいっぱい繋がっている
信号を送って情報を伝達する
初期の頃の非常にシンプルな問題についてはうまく答えられる
パーセプトロンググると良い
代表的なモデルがDeep Learning
脳細胞の数が増えていった 階層が増えていった
2階層>3階層>200階層みたいに
驚異的な能力を今発揮している
人間の脳細胞(ニューロン)は約1000憶個
じゃあうちは1ちょう個を目指す!(Google
Google量子コンピュータの開発も進めている
ブレイクスルーを起こすんじゃないかと言われている

■2:Aiについて、ざっと説明

 

 

■3:ゲームAIって、なに?

2014年くらいゲームにAIが必要ですかねと言われるようになってきた
ゲームAIに特化した会社を設立
AIのソムリエ
もっと生き物っぽくならないかとか色んな依頼を受ける
AIを開発したりコンサルタントをしたり

ソムリエとの違いは、自分たちで加工しないといけない
今みたいな人的な作業でクリアできないぞという状態でお話をいただく
AIを突っ込むにもメモリが足りないとか制限されていて既存のAIを突っ込めなかったりして
色んなことを相談しながらちっこく作業していく

例えば‥
「オートプレイ+AIで、寝ている間にパラメータを生成」
スマホゲームなどで、昔出したキャラと今出したキャラでバランスが成立するかなど
24時間働いても効率良く働いてくれる

「ユーザーに合わせた会話ができます」
キャラクターが最近よくしゃべるので自動化できない?
プレイログに合わせて趣味嗜好に合わせた形でどんどんメッセージを自動的に作れないか
自然言語AI

「大量生産、うけたまわれます」
多量のステージを作ってオートプレイして最適なステージを作る

「ユーザーに合わせて「サービス」するAI」(道半ば)
ユーザーはこのレベルに対してこの強さなのでこのくらいの敵を配置して‥とやるが
今のように行動が多岐になると一般的なユーザーを測るというのが難しい
ゲーム全体を俯瞰しながら手詰まりを起こしていたり飽きていたりというのをチェックして
ゲームバランスを変えていくAI メタAI
一番ホットなAI ゲームのディレクターの役割をするAI

「お財布にやさしい「外のAI」」(まだまだこれから)
ゲームのデバッグやバランス調整、品質管理などをする
ここがなんとかならないか、コストダウンできると嬉しいなどの要請が多い
スクエニもやっているが、世界中が今やっている
QA AI

■4:ゲームAIの難儀なところ

ゲームは普通のAI開発と違って難しいところがある
ならではの難しい点
昔 20年前 「アストロノーカ」を作った
夢の島
遺伝的アルゴリズムというAIを使った
プレイヤーは農家で作物を食べにくる害虫をトラップで対峙する
しかしトラップに耐性がついてきて進化する
手付けで丁度良いパラメータを設定できない
このゲームの場合
AIでパラメータを生成する
 ユーザーがトラップを置いたら自然淘汰が行われて
 強い害虫が生き残る
 どうトラップを置かれようがバランスが崩れる心配がいらない
 最終的に何体か分からないくらい敵が出る
 初期の20体以外は全てAIがパラメータを生成
 誰もAIを使っていることを知らなかったのがショック 宣伝してくれなかった
 今でもアーカイブで動くので遊んで欲しい

遺伝的アルゴリズム
生物の進化のアルゴリズムをそのままモデルにしている
それはそれでちゃんとAIとして成り立つ
今あまり表舞台には出てこないがゲームでまだ有用なAI
ユーザーに応じて 外注の進化が自動的に変わるよう重みづけしたグラフ
AIに組み込んでいる すごく手練れ多ユーザーならそれなりに進化
苦手な人にはそれに合わせて進化
動的に進化速度を速めたりする
スクエニ三宅さん そこが素晴らしい と言ってもらえた

正しいAI
 最短で最適な解を見つける学習が、偉い
 ゲーム的にまずい進化をしたりする

楽しいAI
 ユーザーが気持ちよくなる学習が、偉い
 こちらの形にAIを加工していかないといけない

環境
・ゲーム機の計算力、メモリはプアー
・ユーザは待ってくれない
・面白い「学習」でなくてはならない
 ゲームにそのまま使えないことが多々起こる

問題点
・既存のAIをカスタマイズしないといけない
・仕様を実現できるAIを見つけないといけない
・ゲームの「面白い」を理解していないといけない

AI設計者的知識+ゲームデザイナー的感性が必要
 ゲームの都合を知っている完成がないとダメ
 それを活かすためにAIをどうダイエットしないといけないかという両方の知識が必要
 人材も不足
 自分たちも募集しているがなかなか集まらない
 困るようなことがあればぜひ相談してください

まとめると
AIはスコンと学習が上がるがゲームではそれではダメ

中のAI
 キャラクターの行動判断、経路設計など

外のAI
 パラメータ設計、調整、品質管理など
 今ホット これから利用される

ゲーム業界は何でもAIと言い過ぎる
    楽しいAI 正しいAI
中のAI
外のAI
商売になるのは右下

スクエニのFF
コリジョンにより歩ける場所は決まっているが最短ルートを選んで歩く
最適なルートをAIが見つける

NVIDIA 仮想環境を作る
自動車や自動運転ですごく要請が多い 交通事故で人が死んだりするので
なかなか実証実験がしづらいのでシミュレーションのリアルな世界を再現することが求められている
仮想空間 結構進んでいると聞いている

FurCry2 フィールドを作る
昔なら一本一本木のモデルを差し込んでいたが
あらかじめ木の種類は沢山用意しておいて
ここは草原ですとかここはうっそうな森ですのように設定を与えておくだけで
フィールドを自動的に生成してくれる
オープンワールドだとフィールドが広大になるので非常に役立つだろうと

AIが作った萌えキャラクター
日本の萌えキャラをいっぱい学習して新しい萌えキャラを生成するAI
メイクガールズ 萌え でググるといっぱい出てくる
パラメータを設定して生成するだけ

■5:いま、AIができること

架空アイドルを自動生成する
日本の会社 データグリッドさんの
色んなタレントの顔を覚えさせて新しいタレントを生成
アニメに限らず実写でもほとんど区別せずに作れる
ドットでも大丈夫

レンブラントの学習
レンブラント風の絵を生成できる
17世紀の作家 特集をいっぱい学習
3Dプリンターで作られている 近づくとでこぼこがある
絵具の盛り どれくらい絵具をつけたかとか どのくらいの速度で筆を動かしたかまで再現

Articoolo
キーワードを入力するdかえでコンテンツを自動作成してくれる
すでに商用サービスになっている
キーワード:日本 サッカー
これだけの入力で自動的に文章を作ってくれる
ひながたがあってところどころサッカー用語が入れられている
実際に起こったニュースを取り入れていたりする
全体的には日本のサッカー事情が分かっている上でニュースを作ってくれる
ニュースや天気予報などはっきりしているものはAIでは楽勝

「作家ですのよ!プロジェクト」
SF作家 星新一ショートショートを利用したもの
実際にAIが書いた文章
家族の方が非常に強力的で学習のために利用させてもらえた
開発者 松原先生より「人間8割」
 テーマや構造は人間が与えてやらないとちゃんとした文学は作れない
法律用語や医学用語など限られた範囲でエキスパートになるが
一般常識になると途端にダメ
「部屋に雨がしとしと降る」みたいな文章を作る
 部屋には屋根があり雨が降らないということをいちいち教えてやらないといけない
 一般常識を全部教えないといけない データベースも無いので
AIが小説を書いたり会話したりする時に大きな問題になっている

どちらがAIか見破ってみてください
キャッチコピー 人間のコピーライターvsAI

涙をこぼしながら、きみを作った
あなたは、史上最高の発明だ 〇

AIするんじゃねぇぜ 〇
綾瀬、井川、箕輪。

運命と向き合う覚悟はあるか 〇
メノウの輝きとピアノの音色が、僕を苦しくさせる。

60%しか当たらないが、プロのコピーライターは100%当てていたのでまだAI臭さがある

「イライザ」
世界最初のチャットボット
最近ではりんな
気の利いたことを言う 会話を交わす

AIの利用範囲は広い
ウェザーロイドAirin
毎日3時にお天気をお伝えしてくれる
AIでレポートを生成して、音声合成Vtuberにレポートさせる

ダークサイドについてもお伝えする
フェイク・オバマ
実際に言っていない発言をAIに言わせる フェイシャルも作っている
フェイクな画面がどんどんできるようになってきた

中国のニュースキャスター
フルCG フルAI モデルになっている人はいるらしい
音声もテキストもAIが作っている
こうなると真実は何?となる
これからの時代はねつ造かなかなか区別がつかなくなる
例えば選挙の二週間前に候補者がこんなひどいことを言っていたみたいなねつ造が上がったら‥

AIも包丁と同じで使う人間次第で武器にもなってしまう

Vtuber

■6:AIの勉強方法

今までは先生が例題や模範解答などいっぱい教えていた
そのあとに応用していく

強化学習は全く先生が必要ない

ブロック崩しを攻略する
有名なAI
AIにスコアを上げなさいと命令しただけ ルールさえも教えない
パドルを動かしてブロックが消えてスコアが上がったことに気づいて学習
天井を抜けると良いということに自分で気づく

レーシングゲーム
ちゃんと走りなさいよと命令だけ与える
自分で勉強していく
どこでブレーキしてどこでアクセルを踏むか 延々試行錯誤を繰り返すとできていく
車間距離なども
学習後にスムーズに動くようになる

車の運転やブランコの乗り方を独学する
ロボット 日立のH
後ろでも前でも屈伸している 人間は教えられない たまたま発見

AlphaGo
囲碁 韓国トッププロに勝ったAI 4世代目まである
最初は人間の棋譜を教えていた
4代目でとうとう人間の棋譜を必要としなくなった
教師なしで学習
1~3台目よりも強い
200戦200勝
チェスやオセロみたいに完全情報ゲームについては
ゲームの種類を超えた汎用的なモデルができた
Alpha Zero
一から学習させなおしが必要ない チェスでも何でもできる
先生も必要とせず、しかも強い

■7:この先AIができること

グランツーリスモなど
物理シミュレーションがしっかり入っている
自動運転にゲームが使われている
グランセフトオートの物理シミュレーションが素晴らしいということで走行テストが使われている
グランセフトオートでは見られない丁寧な運転 信号待ちまでする
UIも非常にしっかりしている
ゲームの機能が上がってきたのでAIなど他の分野にも応用が利いている

自殺予防
テキストチェック
Facebookなんかもやっている

西洋と東洋の知能感
日本はAIは遅れている
神>人間>人工知能
日本は横並びなのでキャラクターを使ったAIはがんがん日本がリードできる