ゲームエフェクトデザイナーのブログ (新)

レポート記事とかUE4のマテリアルとか。C#とかも触ったり。

ゲーム開発者による情報発信や副業について考えてみる

今日は2017年の大晦日ですね。

今年は色々と感慨深い年でもあったので、私にとって永遠のテーマでもある「ゲーム開発者にとってのプライベートでの情報発信や副業」について、さらっとではありますが今の考えを書いてみます。

 

情報発信と機密情報


業務ではなくプライベートでブログやtwitterや勉強会等で情報発信をするにあたって、当人にとっても所属組織の同僚や上司にとっても懸念点となるのは「機密に触れていないか?」という点じゃないでしょうか。

某サービスでゲームエフェクトのコミュニティを作ったり旧エフェクトデザイナーのブログを始めた頃には、実のところ内心ビクビクしながら運営していました。

でも当時はゲームエフェクトの情報なんてほとんど見かけなかったですし、自分自身が情報が無くて苦労した面があったため、稚拙な内容でも構わないので何かを発信したいと考えましたし、社内で確認してもしNGと返答があったら困るため聞けない‥と思っていました。

そこで懸念となるその「機密とは何か?」を考えないといけない訳ですが、社則や人事といった面で言えば「公になると会社に損害が及ぶような情報」となります。

で、じゃあそれって「具体的には何か?」という明確な線引きを言語化するのは難しそうですが、ざっくり言えば「その会社に入らないと得られない」かつ「重要な情報」になるかと思います。

最も分かりやすい機密は「開発タイトルそのものの未公開な情報」「開発手法など開発に関する未公開な情報」になると思いますが、さすがにそれを許可無く書くのはダメというのは誰でも分かってることですよね。

僕らが発信するのは大体が技術的なことやアートワークについてです。

その際に「業務上で得た知識を発信して良いものか?」と考える人は多いと思いますが、例え入社してMayaやUE4を仕事で覚えた(業務上で知識を得た)としても、MayaやUE4の仕様の延長程度のTipsを発信するのを「情報漏洩じゃないか?」と思うのは、少なくとも自分は過敏すぎると思う訳です。それって「会社に損害を与える内容か?」と。

ただ、社内で独自の工夫が凝らされているものは知的財産や機密になり得るため、業界一般的なツールを使ったTipsについてなら何でも扱ってOKか?というとそうはならないと思います。

そしてここの判断は一人のスタッフが決めるということはできず、所属組織やチームの責任者じゃないとできないでしょうから、結局のところ微妙なラインだと思ったら社内の然るべき人に確認するのが一番だと思います。PS2くらいまでの時代とは違って今は随分と情報発信や情報共有に寛容になってきている印象がありますし、今の環境ではある程度許してくれていてありがたかったりもします。

今は情報共有していかないと自分たちの首が締まる時代とも感じますし、そもそも正規雇用の割合が減りアウトソースが増え、離職による人の出入りが激しいことからも「今の時代に合った機密や情報共有の考え方」が必要なのではと思います(ハードメーカーやプラットフォーマーといった機密が及ぼす影響範囲が大きい組織や、正規雇用の割合が多く離職率が少ない中で機密を守ろうとする環境なら、プライベートの行動が制限されるほど機密性が高くても納得いく人は多いのかなと思ったりもします)。

一方、会社に確認せず自分で判断するのであれば、日本や海外でどういった技術情報が公表されているのか(カンファレンス・書籍の他にツイートやブログ記事なども含めて)を常日頃から把握しておくというのが自分を守ることに繋がると考えています。

実際「それ言っちゃダメなんじゃないの」という指摘に「いやCEDEC20○○で公表されてます」「インタビューで上がってます」「CGWORLDに書かれてます」と返すような場面は結構あります。例えば「BISHAMONエフェクトデザイン入門」執筆時には、CGWORLD別冊のゲームグラフィックスを1998-2001のものから当時の最新号まで読み返してエフェクト関連のTipsをざっと書き出して「日本で公になっている情報は何か」を把握しようとしたりもしました。

‥という訳で機密についてはそんな感じで考えていますが、問題が無い範囲でしか発信していなくても本名や所属組織名を出すとリスクが急激に上がると思っています。ちょっとしたツイートで炎上して所属会社や商品と紐付けられたりも起こり得ますし、個人の発言が会社としての発言と思われることを会社は嫌います。

自分はチキンハートでもありますし、本名での活動許可を会社に確認するのも面倒なのでHNで活動していますし、最近はプライベートで勉強会を開催したり機密に触れない内容で登壇したりする場合でも会社に念のため確認したりしてOKをもらってはいますが、イベントの告知ページに本名や社名を載せることは、先に書いた理由(会社としての発言と受け取られる可能性)から私の場合はできなかったりします。

このあたりは会社やチームのスタンスによって違ってくるでしょうし、リスクは確かにあると思うのである程度制限されるのは仕方ないな~と思っています。

あと、プライベートで調べて先にツイートやブログで発信しておいてから仕事で活用したり、プライベートでツールを作って公開(ライセンスをちゃんと明示)しておいてから仕事で活用したりといったようなことも、言い訳するのに多少は有効かなと思っています。

ただ社則や人事の観点からは、自宅で「学習」するのはOKでも「業務」を持ち込むのはNGだと思うので、グレーで言い訳が苦しい部分もあると思ってもいますし、傍からは業務で調べたり作ったものをブログでアップしていると受け取られ問題視される可能性もあります。

でも何か調べたりツール作ったりというのはプラベートでもないとなかなか時間が取れなかったりもしますし、自宅で調べられる範囲や自宅で作れる範囲内なら目を瞑ってもらえやすい部分かなと思いますし、そこは目を瞑って欲しいところですね。。

副業はどこまで許されるのか?


副業はタブー視されやすいものの一つであるように思いますが、問題なのでしょうか。

「副業」の前に「副収入」について考えてみます。
宝くじが当たる、資産運用する、ネットオークションでいらないものを売る。これらは副収入であり、会社が禁止するような類のものではないことは明らかに思います。

では「副業」とは何になるのか?
それは企業や団体や個人からの依頼で業務として報酬が発生する類のものと、自ら何かを創作して売るものとにざっくりと分けられるのかなと思っています。

特に競合他社からの依頼の業務は黒に近い(リスクが高い)と考えていますが、そうでなくても他企業からの依頼全般については注意深く対応する必要があると思います。
以前は「バレてクビになっても構わない」と思いながら副業に手を出してましたが、今はクビになるような事態を招けばチームに迷惑をかけるし会社に損害を与えることに繋がると考えるようになりました。

また所属している会社としては「業務に支障が出る」ことが問題であり、取引先と問題になる可能性があったり、休息をちゃんと取れずに体調を崩したり仕事に集中できなくなるといったことに繋がるのはNGとなるかと思います。でもこれって副業OKの会社でも関係無くNGになるケースですよね。

また、HNで活動していても所属会社が周知であったりすると、モラル面の問題などで会社のイメージ低下に繋がらないかなども考慮しないといけないかも知れません。

これらの範囲におおっぴらに手を出すのは現状はまだまだリスクがあると思っていますし、書籍の執筆などは会社公認となる可能性もあるので社内で確認してみるのが良いと思います。
今から13~15年くらい前の頃には日本のゲーム開発者が本を出すなんていうことは無かったと思います。そういったあたりもかなり変わってきましたね。

そもそも情報発信にせよ副業にせよ、社内で確認を取りさえすれば直属の上司も安心します。上司に安心してもらうというのは仕事でもプライベートでも非常に大事なことだと、歳を取ってからようやく気付けるようになりました。今も考えはまだまだ浅いですが、若かりし頃は何も考えていなかったなあと。。

では「副業して良い範囲」は何になるかというと、自ら何かを生み出して売るといった類のものは比較的問題になりにくいと考えています。少なくとも今の職場では然るべきところに確認して問題ないとのことでした。

ただ、その際に業務での知的財産を侵害する要素を含めてしまわないよう注意しないといけないかと思います。その際の微妙なラインの判断は然るべき人に確認するのが良いでしょうね。

ちなみに何度か書いている「然るべき人」というのは「正当な回答ができる」「後ろ盾になり得る」人(や部署)のことです。判断できない人に質問してはだめだと思います。安全面を考えて「とりあえずNGが妥当」となってしまうので。反面、「判断できない」とちゃんと言ってくれる上司は良い上司だと思うようにもなりました。

また、目立った活動は社内で周りから問題視されるという状況になる可能性もあるので、やはり社内で確認を取るのが安全かと思いますし、確認を取らない場合、HNが表に出るならそのHNは誰にも一切秘密にするのを徹底した方が良さそうに思います。

自分がもし新しい職場を探す日が来るとしたら、情報発信と副業についてはどんなスタンスであるか事前に確認したいな~と思っています。

ちなみにその年の副業による収入が20万を超えている場合(副業が給与所得の場合は20万以下でも)は確定申告に行く義務が生じますが、経費や医療控除等の申請により思いのほかお金が返ってくるため、手続きが面倒ではあるものの楽みながらやってます。

ついでに言えば確定申告の時期は窓口が恐ろしく混むので、国税庁のページにてブラウザ上で情報を入力して印刷して郵送するというのが楽ちんです。

そもそも情報発信や副業をしたいと思う理由


こちらについては理由は色々とあります。

社内でもTipsをドキュメントにまとめたりチーム内にレクチャーしたり小さな勉強会を開いたりといったことは日頃から行っていたりする訳ですが、ドキュメントなんかはプロジェクトが終了すると埋もれていき閲覧性は失われますし、広く共有された方が良いような情報が小さな範囲で留まってしまうのは勿体ないと思ってしまいます。

ドキュメントをまとめるというのは開発者の技能として評価にはなりにくい印象がある上に、何よりも非常に労力がかかるので、最大限貢献に繋がって欲しいですし、できるだけ長い期間役に立ち続けて欲しい。

特にUE4ミドルウェアの仕様面など業界全体で共有し合った方が有益だと思いますし、業界全体が情報発信したり共有していく流れが加速していくよう少しでも貢献したいところです。

とは言えプライベート時間が足りなかったりもあって当ブログの現状は中身スカスカで大したコンテンツが無い訳ですが、どこかのタイミングでまとまったものを掲載したいなとは思っています。自分の中で壮大な計画だけはあります。

副業については、私の場合はヨメが働きたくても働けない事情があり、私の主業務の給与だけでは老後の人生が詰むのが見えており何とかしたいというのがあるため、金銭面での理由も大きいのですが、それ以外にも幅広いスキルアップが望めて人脈も広がりキャリアパス面でも幅が広がるかなと思います。

これらは主に個人に対するメリットとは思いますが、それ以上に「今所属している会社を辞めなくても今の会社では経験できない色んな仕事を経験できる」という素晴らしい側面があると思います。これは所属会社にとってもメリットになり得るのではないかなと。

また、少なくとも私自身は副業で得た経験のほとんどが主業務にも還元できていると思っています。

ただ、副業していると勉強する時間が大幅に削られるというのが悩みどころでもあります。。

 

以上、長々と書きましたが、これからも情報発信と副業を続けたいと考えています。

それではみなさま、良いお年を!