ゲームエフェクトデザイナーのブログ (新)

レポート記事とかUE4のマテリアルとか。C#とかも触ったり。

Return of the Obra Dinn 感想(ネタバレ)

前回「Return of the Obra Dinn が面白い」という記事を書きましたが、クリアしたので感想を書いておきたいと思います。ネタバレ全開なのでご注意を。。

 

OneNoteにメモしながらプレイ


英語学習目的でもあったので、プレイ開始時からOneNoteに全ての文章(ヘルプメッセージ含む)をガチガチにメモっていきました。

例えば冒頭のメモの和訳の様子はこんな感じです。

f:id:moko_03_25:20210501162907p:plain


用語集は日本語版の説明文と照らし合わせています。

f:id:moko_03_25:20210501163053p:plain


調査を進める上では乗員リストを作ったのが非常に役に立ちました。

f:id:moko_03_25:20210501163209p:plain

濃厚と思われる予想時には顔写真を当てはめておき、正解と判定されたらその行を薄緑に塗り潰す形です。

表に書き込めるほど情報が無い時点ではこんな感じでメモしていきました。

f:id:moko_03_25:20210501163447p:plain


各回想シーンのメモはこちらのような感じ。

f:id:moko_03_25:20210501164025p:plain


スクリーンショットの撮り方

画面内の矩形選択でのスクリーンショットは「Shift + Windows + S」で行えます。
これを知っているとスクショを撮って貼るのがかなり快適になります。

●和訳・英語学習

テキストは全て手打ちでOneNoteに書き移して、パっと見で分からなければ一旦DeepL翻訳にかけて貼り付けて、その後に1つずつ見直していき、分からない単語は別途調べていくという感じです。

難易度に関して


このゲームは以下の理由から難易度が絶妙だと感じました。

・丁寧にくまなく観察さえすれば大半の乗員の名前と身元が特定できる
 観察が全てで、推理力や IQ のようなものは試されません。 
 ただしゲーム外でノートにメモするなど地道な作業が無いとかなり厳しそう。

・最初からスケッチで大体の職業が判断できる
 画家・操舵手はスケッチだけで名前が分かります。

・インド人の待機所、ロシア人の待機所で身元が予想できる
 加えてハンモックの番号で特定がかなりしやすくなっています。

・落雷シーンでTopman7名が確認できる

・身元や死因の特定があと一歩の際に、入力して偶然当たれば進める
 3人ごとに1人分だけローラー作戦を行うことができます。
 証拠に基づいてキッチリ遊びたい人は自信が無い情報は入力しなければ良いですね。

・死因は正解が複数用意されている場合がある

・謎解きに理不尽さがほぼ無い
 一部「これ分からんやろ」と思うものもあるにはあります。
 Peaters 兄弟のどちらが弟かはハンモックで生存を確認しないと分かりません。

・調査が進まなくてもクリアはできる(エンディングが分岐)


よって、難易度が高く感じるかどうかは「丁寧にくまなく調べる+メモするプレイスタイルが肌に合っているか」で分かれると思います。

私の場合は推理モノは得意ではないですが、プレイ当初からガッツリとOneNoteにメモりながら進めたので、難易度が高いとは感じませんでした。

逆に若干、理不尽さを感じた要素もありました。

・死因の選択肢がやたら多く迷わされる
 敵と怪物はどちらを選べば良い?爪か斬首かどちらを選べば良い?など。
 迷うケースでは複数の死因が正解設定されていますが
 場合によっては詰まる原因にもなっているかと思います。

・役職持ちと世話人の区別がミスリードさせる見た目になっている
 見た目が若い方が世話人かと思うとそうでも無かったり(船匠)
 偉そうな態度を取っている方が上司かと思うとそうでも無かったり(医者)

・スケッチと実際の人物の見た目が結構違う乗員がいる
 スケッチでは黒人に見えない Hamadou Diom が出身地でしか判別できなかったり。

・中国人の名前の判別方法が靴しかない?
 Topmanの中国人4名の名前の判別が終盤まで残りました。
 靴とハンモックの番号の組み合わせを活用しないといけなかったようですね。。

・一通りのチャプターを観終えると船頭から声がかかる
 私の場合「Ahoy!」と突然声が入った時に何かしらセリフを飛ばしてしまって、船頭に呼びかけられていることに気付かずに何のイベントか不明なまま船内を彷徨い続けました‥

・港に戻る方法が分かりにくい
 謎の効果音とともに視界が狭まっていくカウントダウンが分かりにくいですね。。

 

初回クリア時


船の調査時に絶対に特定できない乗員が2名いますがそれは抜きにして、初回プレイ時は生存した4名の消息を特定できませんでした(エピローグを見るまでヘンリー・エヴァンズ医師が調査依頼主だと気付かなかった。気付けばモロッコで生存しているのは簡単に分かることでした)。

加えて Topman2名(ペルシャ・中国)の消息を特定できませんでした。

なので初回プレイ時は6名の消息が特定できないまま終了となりました。

逆に言えば、自力でのプレイでそこまでは特定できたということになります。
どっちか分からないという時に選択していたら偶然正解した乗員も10名くらいはいたと思いますが。。

エピローグを見るまではマーティンが生存者で、手帳は彼が書き留めたもので主人公に調査を依頼したのだと思っていました。最後まで死亡しないのと、あらゆる重要な場面に居合わせていたので。

100%クリア


親切なことに、エンディングを見た後のセーブデータ選択画面から、港に戻る直前の状態に戻ることができ、無事100%エンディングを迎えることができました。

エピローグも短いものでしたが、謎が色々と解けて非常に満足でした。

和訳しながらプレイしたので14時間以上かかってますが、普通にプレイする分にはもっと短い時間でクリアできるのではと思います。

f:id:moko_03_25:20210501195745p:plain

 

総括


●内容に関して

穏やかで天気の良い中、静かで閑散とした船に単身乗り込み、最初に明らかになる惨劇が「その船で最後に生き残った4名が殺し合った後に全滅する」という悲しい結末で、そこから過去に遡っていく形で調査が進展していく見せ方がうまい(船長強すぎ)。

さらに調査を進めると予想だにしなかった怪物たちとの戦闘が次から次へと起こっていたことが分かり、その度にプレイヤーに強烈なインパクトを与え、そうして静かだった船から残留思念の死体だらけの凄惨な景観に変わっていくのが良い。

また、残留思念の回想の中で死体を見つけるとさらに過去に遡っていける感じが、二重三重にダイブしていくインセプション的な感じで面白いギミックですね。

肝心のゲーム部分である調査については、難易度が低めの人物から徐々に埋まっていき、すると徐々に選択肢が減っていくため残っている高難易度の人物についても判明しやすくなっていくため、最初から最後まで一定のテンポを保って進むのも良く出来ていると感じました(一部の人物は消去法でしか分からなくて偶然正解を踏んだ乗員も結構いましたが‥)

それから毎回、残留思念の場所まで移動しないといけないのは手間だったのでショートカットが欲しかったものの、手帳からいつでも飛べたりするのは流石に設定への影響が大きすぎるので無しにしたのかなと想像します(猿のくだりも意味が無くなってしまう)

●物語に関して

結局、この船の惨劇の元凶は「フォモルサの王族が積荷に危険と分かってる人魚の貝殻を持ち込んだこと」に尽きるのかなと(「チェストを海に落とせば全員が死ぬ」「貝殻を守らないと全員死ぬ」の意味がよく分かりませんでしたが)。フォモルサの人達にとっては自業自得と言えそうです。

ただ、欲に目がくらんだ二等航海士のニコルズが大胆な行動に出たことがきっかけで次々と人が死に、貝殻と捕らえた人魚が原因で怪物が次々と船を襲って乗員が全滅しかけたため、ニコルズの罪は抜きん出て重いと言わざるを得ません。。

それにしても二等航海士の役職があるにも関わらず、それを放棄し殺人を犯してでも逃亡するほど、光る貝殻1つと人質の王族に価値を感じたのでしょうか?航海に嫌気が差していていつか一旗上げたいと思っていたのでしょうか?この辺の動機はちょっとしっくりきません。

話は進展し、人魚・カニ・クラーケンの騒ぎが収まった後、ボートで脱出する横で船長が手すりで頭を抱えてうなだれている様子が印象的でした。その時の船長の脳裏にはただ沢山の船員が死んだことだけでなく‥

・脱出する彼らを放ってやれと言ったのに言う事を聞かず殺し、殺される船員(クラーケンの脅威は去ったのに船内の秩序が完全に崩壊している)

・ニコルズ一味を信じて無実の罪でラウ・ホクセンを処刑してしまったこと

・20年間務めた執事の言うことは正しかったが信じてやれず死なせてしまったこと(彼が爺さんの脚を斬り落とした理由はしっくりこないが‥)

・人魚と貝殻を回収せずそのままにしていれば結末が違っていたかも知れないこと(多くの船員だけでなく、妻も執事も失った直後なので)


‥といったようなことが浮かんでいたのではないかなと。。

それから「全てを知りたい」と思ったエバンズ医師がペットの猿を犠牲にして、船外からでも残留思念を辿れるようにし(どうやって猿の手を回収したのか?紐でもつけていれば可能とは思うが)、そのため人魚とマーティンがどういう取引をしたかが後から分かるという隠しエピソードの流れも非常に秀逸だと思いました。

結局、船長は怒りに任せて人魚を脅しつつも2体殺しただけで、取引がうまくいったのはマーティンの判断なので、物語の救世主はマーティンですね!人魚に人語が通じてピタっと攻撃が止むのはちょっとご都合が過ぎるとは思いましたが‥。彼に冥福を。。

そして、せっかくクラーケンを追い払うことができたのに、結局は宝に目がくらんだ(危険と思った?)生き残りの船員を殺すハメになり、何もかもを失った船長が自害して幕を閉じる流れは救いようが無くて、あらためてよくもまあこんな凄惨な物語を考えたものだと思わされます(問答無用で射殺する船長も船長ですが)。

最大の謎は貝殻よりも懐中時計だと思うのは自分だけ?主任調査員だからあれほど明確な調査結果を誰も疑わなかったのでしょうか(なんて書くと野暮ですかね)。

●次回作に期待!

‥とまあそんな感じで、途中で熱が冷めることなく最後まで物語に引き込まれました。

とても面白かったので「同じゲームシステムでまた全く違う物語も遊んでみたい!」と思うのですが、きっとこの制作者はまた斬新なシチュエーションのゲームを一風変わったシステムで提供するんだろうなと思います。

次回作もとても期待ですね!

色んな人の感想・考察を読んでみた


自分と同じく、同じシステムで違う物語をやりたいという意見を複数みかけますね。

あと物語の何に不自然さを感じたかが人それぞれ違っていて面白いですね。
チェストの中の水銀に貝殻を押し込めるとビームが発射されて人魚を無力化する場面は作中最も「なんじゃこりゃ~~」と思いましたが、そこはみなさんあまり突っ込まれてない様子。そもそも懐中時計に怪物にとかなりファンタジーな設定だし、ベンの命が代償になってるのでアリですかね。

それからなぜ貝殻だけでなく人魚ごと船に積み込んだのか疑問を持っている方も多いですね。当時は珍しいものは何でも持ち帰って国王に献上する文化だったのではと思いましたし、人魚騒動で人が何人も死んだからか「V. 呪われた獲物」では船はイングランドに戻ろうとしています。船長としては人魚によって沢山の人が死んだことを説明するためには人魚を持ち帰らないといけないと思ったのでは。証拠が無いと狂言と思われるでしょうし。

 

船長が人魚を2人殺してからマーティンと入れ替わったのが「妻が死んだことを知らせにきた」という予想には、なるほど!と思いました。

そうすると流れは下記のような感じでしょうか。

  1. 船長は人魚2体を殺害
  2. クラーケンが鎮まる
  3. マーティンと船長が入れ替わる
  4. 2人の司房手がマーティンの名で最後の人魚を海に帰す(扉も施錠)
  5. 船長は妻の遺体をベッドに寝かせる
  6. エバンズたちが船倉の様子を見にきて猿を殺し、5人での脱出準備をする
  7. 船長は喪に服す暇も無く甲板の騒ぎに駆けつける
  8. 船長が静止するも、ポールが殺されレオニードが殺される
  9. 船長うなだれる

それから、オブラ・ディン号が無事に帰還できるとマーティンが思ったのは、人魚に言葉が通じてピタっと攻撃が止んだことから取引に応じてくれると感じたんだと自分は解釈しました。

画家については、当時のトイレは船首にあったとどなたかの記事で読みました。

人魚を海へ帰すのを手伝ったポールとデービーが最後の脱出に加わるのは船長は了承済みだと思いました。ただ、彼らだけでなくエバンズたちも船倉にいたことから、クラーケンは鎮まり危機が去ったことが分かってるハズなのに、それでも5人がなぜ脱出しようとしたのかは若干不思議です。食料等を考えるとまだ船内の方が安全な気がするので。とはいえトラウマである現場にこれ以上は居たくないというのは自然な感情ですね。それにその後のオブラ・ディン号の帰着に相当時間がかかったことから、結果的に彼らは脱出して正解でしたね。。

取引の章を小説「猿の手」になぞらえて考察していて面白い。全く気付きませんでしたが言われてみれば確かに。制作者もそこから発想したかも知れないですね。

記事中に「3つ目の願いは代償が特にない」と書かれていますが、すでに大量の人が死んでいる状況が「クラーケンを追い払う願いの代償」として成り立つなら、すでに病気を患って後に死んだエバンズ医師も「死の代償があった」と言えるかと思いました。

それから、アビゲイルが甲板に出たのは自分は不自然に感じませんでした。上も下も地獄のような状況下で、愛する人(唯一の安心)の安否が心配でいてもたってもいられなくなり探し回るのは自然な行動かなと。そもそもパニック状況下の人間の行動は予想できないものも多いでしょうし。

ラウ・ホクセンの自白は色んな人が不自然だと書いている中、ニコルズの仲間の中国人が嘘の通訳をしたのではというこの方の予想に私も一票。ニコルズが戻ってきた時に撃ち殺したタン・チョウの怒りにはラウ・ホクセンへの恨みも含まれていたでしょうね。下手したら仕える主人より同僚である彼の方が感情は強いかも。

ちなみに自分もジェームズとズンギ・サーティは終わりの方まで勘違いしてました。。

#2【考察】Return of the Obra Dinn(オブラ・ディン号の帰還) 死に至る病の謎|ゲームの小部屋

#3【考察】Return of the Obra Dinn(オブラ・ディン号の帰還) 二等航海士とゆかいな仲間たち|ゲームの小部屋

#4【考察】Return of the Obra Dinn(オブラ・ディン号の帰還) あの箱は、絶対に海に落としてはダメよ!|ゲームの小部屋

#5【考察】Return of the Obra Dinn(オブラ・ディン号の帰還) 怪物トリオの正体|ゲームの小部屋

#6【考察】Return of the Obra Dinn(オブラ・ディン号の帰還) フィリップ・ダールは何を知っていたのか?|ゲームの小部屋

考察するスポットが一般的なブログとは一線を画していて面白いし文章もうまい。しかもかなり調べられていますね。読者とのコメントでのやり取りも面白いです。

河童説が良かった。