ゲームエフェクトデザイナーのブログ | A Real-Time VFX Artist's Blog

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「AU Japan 2015」レポート

Autodesk University Japan 2015」に参加してきました。

セッション一覧はこちら

初の参加でしたが、"メディア&エンターテインメント"カテゴリのセッションである「ヒックとドラゴンのペイント手法」と「アナと雪の情報、ベイマックスにおけるエフェクトデザインおよびプレビズ」がそれぞれ二部構成の4セッションと大変貴重かつ豪華な内容で、非常に大きな刺激を受けてきました。

2014年ではドリームワークスでのプレビズについての講演
2013年ではピクサーでの映画制作についての講演と、海外からの講演も続いている様子です。

講演内容については有料講演ということもありますので、問題なさそうな範囲のメモ書き程度に軽くだけレポートしておきたいと思います。


ヒックとドラゴンのペイント手法

「ドリームワークス アニメーション」のSurfaceing Department(部門)でSurfacerとして活躍されている山本原太郎さんによるご講演で二部構成でした。

Surfacerというのはテクスチャやシェーダーのセットアップ、ファー表現といった質感全体に関わる職種で、Art Prop Sheetsと呼ばれるキャラクターの質感設定資料に沿って3Dモデルに落とし込み、その後は実際のライティング環境下で見栄え良くなるようブラッシュアップしてゆき、映画制作の中では長期に渡って制作に携わるそうです。

講演では、パイプラインや指揮系統、使用ツール紹介、アートからFinalへの作業の流れ、そして具体的な制作事例(人物やドラゴンの質感、人物のうぶ毛・ヒゲ・ドレッドヘアーなど)を多数、画像や動画をふんだんに交えながら紹介されました。

それから、社内でどのようなテクニカルサポートが存在しているか、コミュニケーションツールについて、また社内の文化についても語られ、非常に幅広く濃い内容でした。

 

◆「アナと雪の女王」「ベイマックス」におけるエフェクトデザインおよびプレビズ

ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ」で長らくエフェクトアニメーション、エフェクトデザイン、エフェクトアニメーションレイアウトに携わっているイアン・クーニーさんによるご講演。
一部でアナ雪(Frozen)、二部でベイマックス(Big Hero 6)が取り上げられました。

レイアウトセクションと協力しながらエフェクト表現を詰めていくのですが、とにかくラフで構わないので早い段階でさっさと失敗し、問題を排除するのが大事だという点について何度も触れられていました。

アナ雪ではノルウェーの伝統工芸のデザインを氷の魔法のデザインに取り入れて様式化したり、Dr.Snowと呼ばれる雪の専門家を訪れて雪の結晶がどう形成されてゆくのかを研究しエフェクトのアニメーションに取り入れたということです。

こちらも画像や動画をふんだんに交えて講演されましたが、手描きと3Dを絡めてのプレビズ、それも板ポリにエフェクトを流し込んでモデルをアニメートしてラフに組んでいく紹介では、ゲームのリアルタイムエフェクトの手法に近くて非常に面白いものでした。

ベイマックスではスケジュールが厳しい中での工夫として、マイクロボットの動きや雪・雨・煙・特殊な空間といった様々な表現をMayaのビュー上で試行錯誤しながら効率よく実現するために多くのエフェクトリグを用意。講演ではそれらについて次々と紹介がなされました。
こういったエフェクト向けのリグはどんどんプロシージャル化されリアルタイムになってきている‥といったお話が興味深かったです。

他にも「なぜかエフェクトアーティストがみんな大好きな破壊」シーンでの工夫、特にワームホールの影響範囲を視覚化する手法が印象的でした。

        *        *        *

以上がざっとしたレポートになりますが、とにかく実例のクオリティが高いのは勿論のこと、動画を交えたメイキング事例が大放出で非常にテンションが上がりました。
特に首都圏の方は1万円自腹で払ってでも参加した方が良いのでは!と思いました。

あとオマケ情報ですが、受け付けを済ませるとランチプレートが無料で提供されるチケットがもらえました。チケットをもらえるとは知らずに近所で食事を済ませてから来場したのでちょっぴり残念。
来年参加される方はぜひランチプレートの感想を聞かせてください‥!

 

◆メディアによるレポート記事