ゲームエフェクトデザイナーのブログ (新)

レポート記事とかUE4のマテリアルとか。C#とかも触ったり。

『フォトリアルなインテリアビジュアライズはどう制作されているのか』メモ

こちらの勉強会に参加してきました!

建築・エンタープライズ系ビジュアライズや、ゲームエンジンを用いたコンテンツ制作をされている方向けの勉強会で、主催はmozさん(@momomo_moz)。
今後は大阪と東京と年に1回ペースで開催予定ということですっ。

今日は3つの講演がありどれもとても良かったのですが、その中でも植村さんの発表をみっちりメモったので記事にしておきたいと思います(掲載許可も頂きましたっ)。

 

プロフィール


植村明斗さん
LIT design / Creative Director

普段は、インテリアメーカーや家具メーカーのカタログ「コマーシャルフォト」に置き換わるCGを仕事でやっている。

元々はCGパースを作っている会社に4~5年いた。
店舗や商業空間の完成予想図を書いていた。

それからコマーショルフォトの3Dチームに入った。

その後にインテリアデザイナーの友人と独立して現在一緒にやっている。

写真と並べて掲載されても違和感の無いクオリティにする」ことを意識している。

●過去に手掛けたものの紹介

・内観・外観 フル3D
・キッチンメーカーさんの仕事
・照明メーカーさんの仕事

注意しているのは「その商品に目が行くようにする」こと。
実写の場合、寄りの撮影は良いが、引きはロケやセット撮影をすることになる。
引きの場合にCGが代わりに使われる。
不動産会社の案件 タワーマンションなど。

●15年前に手掛けた作品と今の作品を比較

クオリティに大きな差が出ている。
どうしたら今の作品のクオリティになるのかについて今日はお話する。

写真の代替としての3DCG


コスト、アングル変更などのCGならではのメリットがある。
ロケ撮影はカメラマンや色んな人の費用がかかる。
CGだと後から変更もできる。
フォトリアルクオリティを踏まえた上でCGのメリットが出てくる。

●フォトリアルで重要な要素

・光のコントロール
・質感
・雑味
・整合性
・トレンド

光のコントロール

「写真を撮る」ということが絶対に必要と思っている。
光を観察する。構図やレンズについても知る。
まず実写を知らないとフォトリアルは作れない。
今どきのレンダラは簡単設定でリアルなものは作れるが実写を知っていないと見栄えの良いCGは作れない。

質感

こちらはマテリアルのこと。

雑味(ざつみ)

とても重要。
CGで何が違和感があるかというと、直線ライン・汚れ・ムラ感が足りないなど。
雑味があるか無いかで全く変わってくる。

整合性

何でもできてしまうからこそ整合性を突き詰めるべき。
整合性ができていないと違和感が出る。
mozさんの講演で柱の寸法などの話があったように。
光はもちろんのこと。把握しておく。

トレンド

これを知っておかないと古臭くなる。
10年前のCGをカタログに載せる訳にいかない。
1オペレーターとして把握しておくべきじゃないか?
そうすることでディレクターとの話も早くなる。
色んな分野にアンテナを張ること、その分野の世界の一流ブランドのビジュアルを見ることが大事。

一流ブランドの紹介


一流のものを観察することがすごく大事。
海外がとても好きだというのもあるが、ブランドをいくつか紹介する。

●GUB
https://www.gubi.com/

デンマークのブランド。
見るからに日本のインテリアと違う。
小物ひとつとっても光の具合をとっても。
一流のカメラマンやスタイリストが絵を作っている。
学べることが多い。

●GERVASONI 
https://www.gervasoni1882.it/en
http://gervasoni.jp/

百貨店とかに入っていてご存じな方も多いのでは。
女性がアートディレクターとデザイナーを務めている。
独特なビジュアルを作る柄と、異素材の組み合わせがすごくハイセンス。
トレンドとしてアウトドアの家具‥リビングとアウトドアのシームレス化が進んでいる。
アウトドア家具をそのまま中に入れてしまうというのが最近多い。

●HAY
https://hay.dk/en

有名。北欧デザイン。
かなり人気がある。
東京に日本で初めて独立した店舗がある。
トレンドを引っ張っているブランド。
昔の家具の復刻をしていたり。

●&Tradition
https://www.andtradition.com/

光がすごくうまい。
メリハリのあるライティング。
異素材の組み合わせがハイセンス。

以上のあたりが好きなブランド。
普段参考にしたり、よく使う家具だったり。

想像させるビジュアル作り

 

フォトリアルをやる上でカメラマンにならないといけない。
3D上で写真を撮るイメージができてないとフォトリアルはできないんじゃないか。

ビジュアル制作で何を伝えたいのか? 目的を明確にして作るのが大事。

●ビーチに置かれた椅子の写真の例

一方は椅子がアップになっていて場所がよく分からない。想像しにくいビジュアル。
一方は引きの写真でコテージが遠くに見える。海の色から場所を想像できる。

アングルを任せてもらえることも多い。

情報量の違い 写っているものでこれだけ印象が違うことを分かってもらえれば。

●ビジュアル作りで意識していること

・目的
・ターゲット(ペルソナ)の設定
・シチュエーション
・情報の整理

ターゲットの設定がしっかりしていないとブレる。
椅子の写真でも言えるがシチュエーション。
絵の中に何が写っているか情報を整理する。

これらを意識することで目的に応じたビジュアルができる。

Corona RenderrerでインテリアCG制作


モデリングmodo
作業:3dsMax
レンダラー:Corona

●Corona Rnedererについて

・2015年にリリースされたCPUレンダラー
・3dsMaxとC4Dに対応
・290ユーロ

すでにいた先輩たちはmaxとVRayを使っていた。
インテリアCGではこれらがスタンダード。
その頃からCoronaレンダラーの存在を知っていたがまだ正式リリースされていなかった。

使ってみたいと思っていて先輩に相談したら「試してみて」と。
VRayとの互換性があった。

●なぜCoronaを選んだか?

・設定がシンプルで直観的
・家具、小物等のインテリア系のモデル素材が多い
・V-Rayマテリアルがそのまま使える
・屈折、反射が綺麗
・デフォルト設定が豪華設定

設定がシンプルで直観的

デフォルト設定でレンダリングしても十分綺麗。
V-Rayはあまり知らないが、アーティファクトが出たりすると設定をどんどんいじって改善していかないといけない。
Coronaはそれをほぼしなくて良い。

家具、小物等のインテリア系のモデル素材が多い

モデルを入れ込むことが多い。必要に応じてモデリングもするが。
有名なものだと例えば3DSkyというサイトがある。
V-RayとCoronaのロゴが結構載っている。
建築系の素材は、V-Rayの次くらいにスタンダードになりつつあるのかなと。

V-Rayマテリアルがそのまま使える

対応したのは1年前。
ChaosGroupの傘下に入り、V-Rayマテリアルに変換しなくても使えるようになった。
それまではコンバータでおよそ綺麗に変換できた。

屈折、反射が綺麗

V-Rayに比べてすごく綺麗な印象を受けた。

実際の仕事の前にテストで作った一枚の紹介。
シャンデリアが沢山ぶら下がっているシーン。

Coronaレンダラーでレンダリングしてみて驚いた。
レンダリング時間はそれなりにかかったがちゃんとレンダリングできたなと。

クリスタル・ガラスの反射がすごく綺麗。

イメージソースの収集


インテリアシーンを作る際にどういう過程でやっているか?
まずはイメージソース(写真)を集めるところから始める。

例えば逆光のダイニング&インテリアのシーン。
室内の逆行のインテリアで光がどんな回り込み方をするのか観察する。
フォトリアルをやる上で実写の参考が必須。
逆に言えば実写を真似したら良い。

モデリングについての説明は今回は端折る。

●シンプルな部屋で試したシーンの紹介

modoからエクスポートしてCoronaで白背景でそのままレンダリングしたもの。

モデリングで気を付けたのは、床の変わったフローリング。
テクスチャのバンプは凹凸感に限界があるので溝をちゃんとモデルで入れる。
リアルさを出すためにディティールを詰める。
壁の根元の段差。壁がいきなり立つと違和感が出る。
窓、天井のフチの段差。
形状としてはシンプル。

次に、椅子とテーブルを置いた状態の一枚。

ライティング


マテリアル設定をやらないので先にライティングをやる。
気持ち的なところが理由(質問コーナーで回答あり)。

HDRIによるIBL
・HDRI 幅広い光の情報を持つ画像
・IBL 画像自体を光源にする

●Pyhsical SkyとHDRIの比較

CoronaデフォルトのPhysical Sky。
違いがあまり無いと言われればそうかも知れないが、HDRIは雑味が出るのが良い。

HDRIは反射が入ってくると全然変わってくる。
HDRIを使う意味が出てくる。

HDRIには賛否の声がある。
商品の色が変わってしまうとか、コントロールできるのか? とか。

でも自然光が一番綺麗と思っている。
以前、プロのカメラマンやスタイリストに話を聞いたらスタジオライティングでは自然光をいかに再現するかということだった。

実写ではコントロールできない。天候とか色んなものに左右される。
でも3D上なら色々コントロールできるんじゃないか?

プロダクトのCGではダメだったりケースにもよるが、基本的にはHDRIを使いたい。

●IES

室内のダウンライト等はIESを使う。
照度のシミュレーションみたいなもの。
使うか使わないかで結構変わってくる。

インテリアとか建築のCGでは、夜は自然光が使えない。
あえて夜のHDRIを使うこともあるが、メインの光源が室内光になるのでダウンライトやスポットライトは必ずIESを使うようにしている。

光の落ち方のものがDLできるので、目的に応じて使い分けてコントロールする。

マテリアル設定


リアルなマテリアルを作るポイントについて。

●PBR(Physical Based Rendering)

ほとんどのCGソフトが今そうだと思うが‥
・PBRの理解
・反射マップ、ラフネスマップを使う
・ノーマルマップを使う

(自己紹介の際の)昔の画像では反射を入れてなかったのでのっぺりしている。
色々ひどいなと思う。

PBRを理解した上で作れば変わる。
あとは綺麗にライティングすればフォトリアルは簡単にできるんじゃないかと思っている。

●フローリングのマテリアル

極力シンプルな設定にしたい。
複雑にすると分かりにくくなる。人に渡した時も。

ディフューズで色調整してはいるが、一番シンプルな構成になっている。

IORの値について。
PBRをやる上で色んな意見があると思うが、実際の数字を重視した上でちょっと色を付ける。反射欲しい時に上げたりしている。

Coronaのマテリアルは、見た目はほぼV-Rayと一緒。

ノーマルマップはガンマを正しくするためのノードをかましている。

左が床を反射マップとグロスマップを外したもの、右が入れたもの。
右は雑味がある。歪み・床の反射のゆらぎがあるのが分かってもらえたら。
ここですごくリアル差が出てくる。
基本的なことだと思うが、極力反射マップをちゃんと作ること。

●ディフューズカラーの参考値

RGB 243(95.3%)~RGB 53(20.8%)の範囲に収める。

・黒は墨や黒炭が身近にある中で黒いもの。これを下回ると黒すぎる。
 黒すぎるとライトも強くするとかしてバグってくる。ブレてくる。
・白は雪の明るさ。これ以上は使わない。

これらの決定をしっかりやった上でテクスチャの色を決める必要がある。
これがブレるとライティングから何まで影響が出る。昔失敗した。
ライティングがおかしくなっていたり「何かリアルちゃうな」っていう時は、このあたりがおかしい時がある。

インタラクティブレンダリングと2Dパン/ズーム


Coronaと3dsMax特有の機能。
すごく便利なのでご紹介。

インタラクティブレンダリング

押したらプレビューが表示される。

●2Dパン/ズ-ム

ビューポートでズームできる。
これができるソフトは他にもある? 中々なかった感じがする。
カメラ固定してそこだけ見れるので、ディティール詰めるのにめちゃくちゃ便利だった。
全体の絵を作った上でズームしてディティールを詰めていく流れでやっている。

完成シーン


先ほどの部屋のシーンに小物を入れてレンダリングした最終の絵がこちら。

基本的なことしかやっていない。
PBRに則ってマテリアルを設定してHDRIでレンダリングしている。

家具の選定や小物の配置はトレンドを理解している必要がある。
ゲームをしているとちょこちょこ出てくるが椅子が非現実的だったりすることがある。
極端に言えば30年前の流行りが出てたり。

日本のインテリアについて日常的に把握しておくと良い。ファッションでも同じ。
建築パースなどでもどうしても古いものが多く、そうすると絵自体が古くなる。
ビジュアルとして説得力を持たせるには今どきの服の人が入っている方が良い。
トレンドはインテリアに限らず追いかけるのが大事。

TIPS


マニアックなディティールの詰め方の話。

●鏡

よく出てくる。
四方にフレームがある鏡だとそうでもないが。
鏡の構造をどう作っているかを紹介。

上下でステンレスで支えている鏡の例。
コの字のフレームがあって‥
ガラス・その奥に銀のメッキ・その奥にさらに銅や塗料がある。

それをそのままモデリングして作ったのがこの形状。
フチにガラスを隔てた鏡。立体感が出た。
ガラスに青い色を持たせたり。

「フォトリアルはこれくらいディティール詰めてますよ」という紹介になる。

●金属のヘアライン表現

インテリアCGでは割けて通れない。

・キッチンのワークトップ(天板)
・レンジフード
・家具の金属部分
・家電

シンクの中はバフ仕上げ。天板の上はヘアライン。

設定は‥
・RoughnessMapにヘアラインのテクスチャ
・BumpMapに大きめのノイズテクスチャ
・Anisotrophy(異方性反射)の使用

金属にできる微妙な凹凸を与えている。
微妙に波打っていたりさせている。
ヘアラインに異方性反射で球体の光源が伸びて入る。
ノイズマップでカーブしている。

ステンレスのキッチンが最近流行っていて年々使う機会が増えていっている。

マテリアルはめちゃシンプル。
拡散反射を0 反射のIORとグロスを設定。

●タイルの表現

均一じゃないバラつきを持たせている。
modoの機能でJitterによりタイル1枚1枚ごとにランダム回転を与えた。
最近のバージョンアップでできた機能。

他にも色々やり方はあると思うが、最近はこの機能を使っている。
形状にランダム形を持たせて反射にランダム感が出る。

●ネジ用のセメント

テクスチャとAOで黒ずみを入れている。
ディティールはカメラの引き具合によって変わるが。

UE4で制作した内観CGのシネマティック


UE4はまだ触って1ヵ月も立っていないが、できないなりに映像を作ってみた。
タワーマンションの宣伝のような動画。
反射やマテリアルを詰め切れていない。

UE4で初めて映像を作ってみてカメラアングルなどめちゃくちゃやりやすいと思った。
レンダリングしなくて良い。その場でカメラを動かせる。
CGの映像制作が変わっていくなという印象を受けた。

もっとこれから勉強していけたらと。

ご清聴ありがとうございました!

質疑応答


Q:マテリアルの前にライティングを詰めるという話があったが
  この時点で最終的なライティングまで詰めるのか?

A:必ずこうしている訳では無いが紹介したシーンではそうしている
  気分的なもの
  ライティング綺麗な状態でマテリアルを作りたい
  数値ベースで作業する
  ほぼプレビューやらずにポンポン放り込んでいくので
  Coronaの機能 マテリアルオーバーライド
  白のマテリアルをプレビューでかぶせる

Q:テクスチャ Substanceとか? 自作されている?

A:現状していない ネットで購入が現状はほとんど
  なぜかというと インテリアのカタログ
  床はメーカーさんから支給がある
  スタジオで撮影して フラットに それを使うようにしている
  他は大体あるものでやってしまう
  興味はあるのでそのうち使ってみたい

Q:ライティングは自然光が一番とのことだったが
  V-RayでHDRIだけだと思ったようなライティングができず‥
  窓際にベタライトを置いてこねくりまわして無理くり近づけたりしている
  HDRIだけでやっている?

A:板ライトは個人的に嫌い
  スタジオライトをまねると板ライトにソフトボックスにHDRIを当てたりはやるが
  それ以外はHDRI+IES
  窓の光をエリアライトで疑似的にやるのはフォトリアルを始めてからやっていない
  昔はmodoでやっていたりしたが、Coronaは使わなくても綺麗
  カメラの露出を上げる
  実際の現実の撮影と同じにする
  シャッタースピードは同じ ISO感度は関係無いかも知れないが
  実写をやってみるのが早いのかなと
  HDRIだけではうまくいかない感じというのはどういう?

Q:光の入り具合が気に食わない HDRIを回転させると全体が暗くなったり
  良い感じのライティングにするためにあれこれと‥
  HDRI自体を選んでいる?

A:HDRIのストックはめっちゃ買っている
  自分で撮影もしたいが
  インテリアを置いてロケ撮影をしたいが それが一番なので
  そのシチュエーション
  湖畔みたいなシチュエーションならそういうHDRIを使う
  そうすれば色味や光の周り込み具合も現実に近いものになる
  検証できていないがガンマを変えれば光の硬さも変わる

Q:200~300枚じゃすまない量ありはするが‥

A:賛否あるとは思う
  自分は好んで使っている
  CG上で スタジオ撮影じゃなくてロケ撮影を再現する
  スタジオ撮影だとメリハリはでるが自然光の柔らかさが出ないので

Q:UE4もHDRI?

A:これもHDRI リアルタイムでは良くないかも知れないが
  自由に動かしたら不具合も出ると思うので
  リアルタイムでどれくらいになるか実験で
  よくよく見るとおかしなところ 屈折とか パッと見で違和感なければ
  UE4もHDRI入れたら綺麗になるなという印象を受けた
  フィジカルスカイも綺麗だけど